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常勤換算の意味は?計算方法とICTによる配置基準緩和まで解説

作成日:2024/02/26

更新日:2024/04/17

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介護施設や病院などでは人員配置の基準で常勤換算という計算方法が用いられています。常勤換算は厚生労働省によって定められた計算方法であり、その施設のスタッフの平均を表す数字です。

この常勤換算は介護施設の管理職が人員配置を行う際に必ず把握しておかなければならない考え方です。

本記事では常勤換算の基本と計算方法、ICTを導入する際の人員配置の緩和についてわかりやすく解説します。 ぜひ、人員配置を考える際やICT導入を検討する際の参考にしてください。


介護施設に人員配置基準がある理由

介護施設では利用者の数に対して、常勤換算の計算方法を用いて、人員配置を行う基準が厚生労働省によって決められています。

これは、どの事業所でも一定の質を担保したサービスの提供を行えるようにするために定められています。介護サービス提供の際に、この基準以下での人員配置を行うとサービスの質が落ちるだけでなく、スタッフ側にも仕事の負担がかかり、労働環境の悪化を招きかねません。

そのため、常勤換算の計算方法を理解し、基準に沿った人員配置を行う必要があります。では、次の項目で具体的な常勤換算の計算方法について解説します。


常勤換算の計算方法|具体的な3つの手順


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1.常勤の人数を把握し、週あたりの労働時間を計算する

常勤換算の計算方法はまず常勤の人数を把握するところから始めます。常勤とはフルタイムで働いているスタッフのことです。

常勤職員の1週間あたりの就業時間が次の項目で必要になりますので、職場でどのくらいの人数が常勤として働いているか把握しましょう。


2.非常勤の労働時間を計算する

次に、非常勤の労働時間を計算します。非常勤とはフルタイム以下の時間で勤務しているスタッフのことを指し、パートの方もここに該当します。この非常勤のスタッフの勤務延時間(※1)を、常勤スタッフが勤務するべき労働時間で割ります

※1 勤務延時間数とは、勤務表上サービスの提供に従事する時間もしくはサービスの提供を行うために準備を行う時間と定義されています。この計算式で得られた数字を次のステップで使用します。


3.職員全員の平均人数を合算し常勤換算を算出

常勤スタップの人数と上述の計算式で得られた数字を合計することで常勤換算の計算は完了します。下記に計算式をまとめたものを記載します。


常勤換算=常勤スタッフの人数+(非常勤スタッフの勤務延時間数/常勤スタッフの勤務するべき時間)


例)週40時間の常勤職員が3人、週20時間の非常勤職員が1人、週10時間の非常勤職員が1人の場合

3+(20+10/40)=3.75

小数点第2位以下は切り捨てとなるため、この介護施設での常勤換算は3.7となります


有給休暇や出張の場合の計算方法

常勤換算では有給休暇や出張などの短期間のスタッフの施設内での勤務日数の減少は含まずに計算を行なっても問題ありません。
ただし、このような短期間の休暇に対する常勤換算は常勤スタッフにのみ適応され、非常勤を含むことができない決まりとなっています
 

産休・育休、介護休業の場合の計算方法

産休や育休、介護休業などの長期間(1ヶ月を超えるもの)の休暇に関しては、その職場に勤務していないものとして計算を行います
そのため、長期の休暇を取る介護職がいる場合は常勤換算上、必要な人材が足りない場合は代わりの職員を採用する様にする必要があります。
 

時短勤務になる職員の計算方法

育休明けや介護などでの短時間勤務を行うパートの従業員がいる場合、常勤換算の計算方法では非常勤と同様の扱いを行います
時短勤務から再度フルタイムでの勤務に戻る場合はフルタイムの勤務に戻る予定月の勤務表から常勤職員として扱います。
ただし、育児および介護のための所定労働時間短縮等の措置が適応される場合、週30時間以上の勤務で常勤が勤務するべき時間勤務したものしてみなすことができます。
 

兼務がある場合はどう計算する?

介護職の雇用形態として、専従と兼務の二つがあります。専従とは、その職種としての仕事以外の業務を行わないスタッフ、兼務とはその職種以外の仕事も兼任して行うスタッフのことを指します。
同一スタッフが月の中で違う事業所で勤務を行っている場合は双方の事業所内で計算を行う際に非常勤専従として、それぞれの事業所で勤務している時間を使用し計算を行います
(例:同一スタッフが週に20時間ずつ2つの事業所で勤務した場合、それぞれの施設で20時間/40時間=0.5人として扱われます。)
 
さらに、事業所をまたいで兼任を行っている場合でも、勤務時間の合計が常勤の介護職が勤務するべき時間に勤務していると、次の2つの場合に限り常勤兼務として扱われます。
同一の建物もしくは敷地内で同一の法人が運営している事業所の兼任において、以下の2種類になります。

①事業所の管理者と別の職種の兼任
②「同時並行的に行われることが差し支えない」など個別に基準等で示されている組合せの兼任

このような並行的に行われることが差し支えない場合は、勤務時間を合計して常勤換算を行っても問題ありません
兼務を行う敷地が異なるなどの並行的に勤務することが難しい場合は、上述のようにそれぞれの施設において非常勤と同様に常勤換算の計算方法を用います。
 
ちなみに、看護師と生活相談員(ケアマネージャー)の兼務などの同時並行的に行うことが難しい兼務に関してはそれぞれの業務ごとに常勤換算を行います。
例えば、Aさんが看護師とケアマネージャーを1日に4時間ずつ兼務していた場合、勤務延時間80時間/常勤の勤務するべき時間160時間=0.5人としてそれぞれの職種でカウントされます。
 

看護の常勤換算はどのように計算する?

看護師における常勤換算も計算方法は上述と同様に行います。ただし、施設の種類によって看護師配置の人員基準が変わるため注意が必要です。
例えば、認知症対応型グループホームでは介護職員と併せて3人と設定されていますが、通所介護(デイサービス)では単位ごとに専従で1人以上必要と決められており、それぞれの施設で資格所有者を雇用する必要があります。
 

常勤換算に関するよくある質問

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続いて、常勤換算についてよくある質問・問い合わせについて解説します。
 

常勤の週32時間と40時間の違いは?

常勤換算の計算を行う際に、常勤の勤務するべき時間を設定する必要があります。基本的に常勤は法律上で定められている法定労働時間の上限40時間を勤務するということが決められております。
しかし、この80%以上勤務をした場合は常勤同様の扱いが可能とも決められています。つまり、40時間勤務の80%は32時間となり、常勤換算では就業規則で勤務するべき時間を32時間と設定することができます
 
また、常勤換算を行う際、常勤が勤務するべき時間が32時間を下回る場合は32時間を基本とするとされています。そのため、介護施設で常勤換算を計算する際は常勤の勤務時間を32時間としている施設が多くあります。

常勤換算で160時間は何人?

常勤換算で160時間の勤務を何人で行うかを計算する場合、常勤の勤務するべき時間の設定によって計算方法が変わります。
常勤の勤務時間が8時間の場合、一月あたり常勤が勤務するべき時間は週40時間勤務×4週間=160時間となります。つまり、勤務時間160時間/常勤の勤務するべき時間160時間となり、常勤換算上では1人となります。
 
常勤の勤務時間が、週32時間として計算を行うと週32時間勤務×4週間=128時間です。これを常勤換算の式に当てはめると、勤務時間160時間/常勤の勤務するべき時間128時間となり、1.25人となります
このように、常勤の勤務するべき時間を何時間に設定するかによって計算の結果が変わります。

常勤換算には休憩時間は含まれますか?

常勤換算を計算する際に、常勤職員が勤務するべき時間を設定する必要があります。
この際、過剰な休憩時間は勤務時間に含めることができませんが、労働基準法34条に決められている最低限確保するべきとされている程度の休憩時間については含めてもいいことになっています。
例えば、9時から17時までの勤務で間に1時間の休憩がある場合は8時間勤務として扱うことができます
 

常勤換算と人員配置の関係

常勤換算は介護施設における人員配置を行う際に使用されている計算方法になります。
介護施設には人員基準があり、人員基準には目的と満たせなかった際の規則があります。以下では人員基準の目的と満たせなかった際の罰則について解説します。

人員基準の目的

介護施設における人員基準は厚生労働省によって定められています。人員基準の目的は、各介護施設でどの事業所でも適切な支援・サポートを提供できるように必要な最低の人数を確保するためです。
そのため、介護施設の種類によって定められている職種や人数に違いがあります。施設別の人員基準については下記にリンクを作成しているため、ご参照ください。

人員基準を満たせなかったときの罰則はある?

上述のように、人員基準はどの事業所でも適切なサービスを提供するために必要な最低限の人数を確保するために設定されており、介護施設の運営では基準を満たしている必要があります。
そのため、人員基準を満たせなかった際の罰則が決められています。この罰則は「人員基準欠如減算」と呼ばれており、当該施設における利用者全員に対する基本報酬を70%算定する決まりです。
つまり、人員基準を満たすことができなかった次の月、もしくは翌々月から利用者全員に対する介護報酬を30%減算されることになります。
 
また、虚偽の人員数の報告を行うと行政処分を受ける可能性があるため注意が必要です。
行政処分の内容は介護請求の一部停止や事業所における新規利用者の受け入れ停止、最も重い処罰は事業所指定の停止まであるため、もしも人員基準を満たすことができなくなってしまっても虚偽の申請は行わないようにしましょう。

施設別の人員基準

ここでは、さらに施設別での人員基準を一覧で紹介します。以下に弊社執筆の関連記事で詳しく解説しているページがありますのでご参考いただけますと幸いです。
 
▼介護老人保健施設の人員基準の解説記事はこちら
▼住宅型有料老人ホームの人員基準の解説記事はこちら
▼サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の人員基準の解説記事はこちら
▼認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の人員基準の解説記事はこちら

ICT活用で人員配置基準が緩和される?

夜勤職員配置加算について

ICT活用による人員配置基準の緩和が提言される前にも、人員配置に関する加算など様々な取り組みが実施されていました。

夜勤職員配置加算は、主に入所系施設(訪問介護など在宅系を除く)において、介護職員と看護職員を夜間の人員基準よりも多く配置して安全性を高めている事業者に対して評価する加算です。

1人分の職員を増やすことで加算されますが、見守り機器を使用した場合は0.9人分として認められるなど、算定要件は複雑でした。


経団連による配置基準緩和の提言

2022年に経団連が医療・介護分野におけるデジタルトランスフォーメーションの推進に向けた提言を行なっています。介護分野では、3:1の人員配置に関する緩和が必要であると述べています。

3:1の人員配置とは、介護職員や看護職員を利用者3人に対して1人配置しなくてはならないという基準になります。ここでいう3人とは、実際の出勤人数ではなく常勤換算の計算方法で算出した数字を使用します。

経団連は2040年までに2019年と比較して介護職員を約69万人追加で確保する必要がある一方、現在の生産年齢人口が減っていく中でこの数字の確保は非常に難しい状態にあると指摘しています。


また、この提言の中で介護ロボットやICTの導入が介護の効率化や品質の向上に関係することが分かってきたとも述べています。

そして、利用者にとっての品質確保、職員の負担軽減が図られ、テクノロジー・データ活用による業務時間の削減効果が認められる場合、その改善効果の範囲で配置すべき員数を見直すべきではないかと提言しています

例えば、本来であれば介護職員が見守りのために夜間の見回りを行わないといけないところを、見守りセンサーを導入することで、利用者の安全を確保した上で勤務の効率化を図ることができます。


もちろん、介護ロボットやICTを導入するだけでは介護の効率化や品質の向上を行えるとは断言できませんが、技術を活用することでサービスを向上することは可能です。


ICTを導入して適切な雇用体制を築こう

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上述の経団連の配置基準緩和の提言以外にも、厚生労働省は見守り機器等を導入した場合における人員配置基準の緩和を令和3年度の介護報酬改定で行なっています

従来の基準では、夜間における人員配置が利用者数25人以下では1人、60人以下では2人、80人以下では3人、100人以下では4人以上必要というように定められていました。

施設内の全床に見守り機器を導入していること、夜勤職員が全員インカム等のICTを使用していること、安全体制を確保していることの3つの要件を満たすことで上述の基準を緩和することができるように改定されました。

ここでいう安全体制とは委員会の設置などに加え、職員に対するテクノロジー活用に関する教育の実施なども含まれています。

要件を満たすことで、利用者数25人以下では1人、60人以下では1.6人、80人以下では2.4人、100人以下では3.2人以上が基準になります。このように、介護分野でのICTを利用した人員配置の緩和が行われています。


令和3年度介護報酬改定以前令和3年度介護報酬改定後~
利用者数25人以下配置人員数1人以上配置人員数1人以上
利用者数26人~60人配置人員数2人以上配置人員数1.6人以上
利用者数61人~80人配置人員数3人以上配置人員数2.4人以上
利用者数81人~100人配置人員数4人以上配置人員数3.2人以上


※参考:令和3年度介護報酬改定の概要:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001005036.pdf


ICTを導入した介護分野での成果は現在厚生労働省が調査中です。経団連の提言にもあったように、今後我が国は生産年齢人口の減少とともに介護職員の数が不足してしまう問題に直面しています。

この問題はICTを活用することで業務を効率化し、現場に必要な人数を減らすことで解決できるのではないかと考えられます。もちろん、機能や技術だけに頼るだけでなく、ICTを利用した機器の使用方法やルール作りなどの介護職員への社内教育は必要ですが、使用し続けることで業務は効率化し、品質も改善することができるでしょう。


まとめ

本記事では常勤換算の計算方法とICTの導入による人員の配置基準緩和について解説をしました。介護施設の管理をする上で常勤換算の計算方法は必須になる知識です。

また、ICTに関しても、社会的に影響力の大きい経団連が提言を行なったり、令和3年度の介護報酬改定で夜間の人員配置基準の緩和に関わっていたりするため、今後の介護施設の経営する上で管理者の方は確認しておくべき重要なポイントになります。

さらにICTの導入を行うことで介護サービスの品質改善のみならず、介護職員の職場環境の改善を図ることも可能です。

本記事が常勤換算する際やICTの導入時にお役に立てれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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