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認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の人員基準とは?職種ごとの人員や計算方法について解説

作成日:2024/04/09

更新日:2024/04/09


認知症対応型共同生活介護とは一般的にはグループホームの愛称で呼ばれ、その名前の通り認知症がある高齢者に特化した入居型の介護施設です。
小規模な施設が多く、1事業所あたりユニットと呼ばれる居室・食堂などを含んだ共同生活空間を3つまで運営することができます。今回の記事では認知症対応型共同生活介護の人員基準とその計算方法についての解説を行います。

グループホームの特徴と概要

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まずは、グループホームについて概要を紹介します。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)とは、65歳以上の要介護認定を受けた認知症の高齢者に対して共同生活住居で、家族との生活を離れ少人数で家庭的な雰囲気の環境のもとで地域住民との関わり合いを維持しながら生活します。

日常生活における適切な機能向上を目指し、最終的にそれぞれ自立した生活を送ることができるように支援する施設です。
そのため、自分のことは自分でする、というスタンスとなっており、日常の入浴・排泄など介護施設で行われる介助も少ないのが一般的です。

現状、訪問介護等のサービスは無く、介護職員は料理・外出の付き添いや身体介助・認知症進行緩和・見守り業務に限られています。
あくまでも自立を促すためのケアが重要であり、比較的ご利用者様は自由度の高い生活を送ることができます。
 
また大勢の方が利用する介護老人保健施設や通所介護(デイサービス)よりかなり少なく、約5-9人の少人数での共同生活となります。
有料老人ホームなどと異なり認知症を持った方が集まっているので、ご利用様同士の理解やコミュニケーションが促進され一人一人の個性や魅力に気づき、お互いに協力し合って暮らしていることが特徴です。 

グループホームの人員基準

次に、グループホームの人員基準について解説します。グループホームの人員基準で必要な職種は介護職員、管理者(or施設長)、計画作成担当者の3種類の職種となります。
人員基準は職種によって違い、日中と夜間でも定められている基準が違います。そのため、まずは職種ごとに人員基準がどのようになっているかを一覧で詳しく解説します。
 

介護職員について 

介護職員は、利用者の生活援助や身体介護はもちろん、レクリエーションなどの利用者に対するイベントの運営などの業務を行います。
グループホームの人員基準で、介護職員は原則として日中では利用者3人あたり1人以上、夜間ではユニットごとに1人以上と定められています
 
この人員基準は実動員数ではなく、常勤換算と言われる計算方法を用いて計算を行います。常勤換算に関しては、後ほど解説します。
介護職員の人員基準には他にも条件があり、日中の時間帯は常に介護職員が1人以上は必要であること、介護職員のうち少なくとも1人は常勤で担当以外のユニット業務は基本的に行わないことが決められています。
 
なお、認知症グループホームでは医療の専門家である看護師や医師が必須の人員配置となっていません。近年では、訪問看護ステーションに依頼をしたり看護師を配置したりすることで、医療機関との連携を図っている施設も見られます。
 

代表者について

代表者(開設者)は、グループホームの経営や運営をになう役割を持っており、法人として運営している側面が強く、通常は理事長や代表取締役の役職を持った方が対象になります。
 
特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・介護医療院・グループホームなどの護施設での認知症高齢者の介護業務に従事したことのあることが前提条件になります。
また、保険医療サービス・福祉サービスの提供をする事業の経営・運営に関わりがあることや、厚労省の定める認知症対応型サービス事業開設者研修を終了しているなど、特に専門的な知識が必要になります。

管理者について

管理者とは、3年以上の認知症の介護従事経験があり、厚生労働大臣が定めた研修を受講したものと定義されています。
認知症対応型共同生活介護の人員基準では、管理者として常勤専従の職員がユニットごとに1人必要とされています
ただし、管理上支障がない場合に関しては同一敷地内にある他の事業所や施設の業務を兼任しても良いと定められています。
 
特に重要とされるのは、ご家族様や地域包括支援センター・民生委員の方と年に6回程度、運営推進会議で評価を受けることで、より良いサービスを提供するための施設運営を考えることです。他にも施設全体の人材のマネジメントや、いざ何かあったときの対応など、大切な業務が多くあります。
 

サービス管理責任者について

サービス管理責任者とは、一般的に「サビ管」と略されて呼ばれることが多い利用者の支援計画を作成するスタッフのことです。
少しややこしいのですが、障がい者向けのグループホームには配置が必要です。しかし、認知症グループホームにおいては配置基準がないため、配置は必要ありません
認知症グループホームでは、次に解説する計画作成担当者がサービス管理責任者の業務内容と似ている業務を行うことが特徴です。
 

計画作成担当者の人員基準

計画作成担当者とは、グループホームの利用者の介護サービス計画(ケアプラン)を作成するものをいいます。認知症介護実践者研修もしくは実務研修基礎課程を修了している必要があります。
グループホームでの人員基準ではユニットごとに1人必要とされており、最低でも1人は介護支援専門員であることが定められています
 
また、介護支援専門員(ケアマネージャー)はもう1人の計画作成担当者の業務監督をする必要があります。計画作成担当者はユニット間での兼務はできない点に注意が必要です。
ただし、利用者に対して不利益が生じないのであれば管理者などの他の職務との兼任も可能です。
 

世話人について

世話人とは、グループホーム内での食事提供や清掃・家事のサポートなど、入所者の身の回りの世話をするスタッフです。
上述のサービス管理責任者と同様に障害者グループホームには必要ですが、認知症グループホームの人員基準には入っていません
 

グループホームの人員基準と計算方法

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グループホームにおける職種ごとの人員基準は上述のとおりです。
基本的にグループホームでは1ユニットの定員が5~9人の最大3ユニットで構成され、台所や食堂・浴室、共有のスペースなどの場所で共同生活をしています。
では次に、グループホームの人員基準の注意点と計算方法について簡単に解説します。
 

3:1が日中で満たされない場合もある

グループホームにおける介護職員の日中での人員基準は、利用者3人あたり1人となっております。
この基準はのちに解釈通知で、「日中・夜間・深夜の時間帯は事業者ごとの生活サイクルに応じて定めること」、「日中の時間帯に出勤している介護職員の勤務時間の合計が24時間以上であること」、「日中の時間帯において常に介護職員が1人以上確保されていること」と説明されています。
この場合、実際にその時間に働いている介護職員数をもとに人員基準が決められているのではなく、介護職員全員の労働時間を合計したものをベースに計算されています。

参考:厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」
 
そのため、日中の時間を長く設定し、業務量が多い午前7時や午後6時前後などに人員を多く配置するなどしたシフトを組んだ場合、日中の業務量のより少ない時間帯が3:1の基準を満たしていなくても問題ないとされています。
実際に、グループホームごとに施設のフロアに居る人数は大きく変わり、日中に3:1を超えず、9:2の人員配置になっている施設も多くみられています。
 

常勤と非常勤の換算方法は異なる

上述でも説明したとおり、グループホームの人員基準は各介護職員の労働時間をもとに計算を行なっています。
しかし、非常勤スタッフは1日あたりの勤務時間が常勤スタッフより短いことはもちろん、1週間あたりの勤務日数も常勤スタッフより少ないことが多くあります。
そこで、厚生労働省がこの勤務形態の違うスタッフの労働時間を計算できるようにした方法が常勤換算です。常勤換算は以下の計算式で求めることができます。
 
常勤換算=常勤スタッフの数+(非常勤スタッフの勤務延時間数/常勤スタッフの勤務するべき時間)

▼関連記事
常勤換算の意味は?ICTによる配置基準緩和まで解説
 

夜勤の人員基準はどんな条件を満たす必要がある?

元々、認知症グループホームは夜勤の職員体制はユニットごとに1人配置することが義務付けられていました。
この中でも例外的に2ユニットを1人の夜勤スタッフを認める規定もありましたが、過去に火災での死亡事故が起きてしまったことがあり、安全面に問題があるとの理由でこの規定は廃止されました。
 
しかし、介護現場は人員不足が深刻化しており、スプリンクラーや火災探知機などの設備がグループホームに設置が義務付けられたことなども後押しになって、3ユニット併設されているグループホームに限って特別に2人の夜勤スタッフで勤務することが認められるようになりました
設けられた規定では、「3ユニットの場合であって、各ユニットが同一階に隣接しており、職員が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応が可能な構造で、安全対策(マニュアルの策定、訓練の実施)を取っていることを要件に、例外的に夜勤2人以上の配置に緩和できること」とされています。
そのため、この条件を満たすことで夜勤の人員基準である、1ユニット1介護職員という基準を緩和することができます。
 

ICT活用による人員基準について

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最後にICT活用を行うことで人員基準についてどのような影響があるかの解説をします。
 

夜間の介護職員は少ない傾向にある

基本的な考え方として、夜間の介護職員は少ない傾向にあります。
人員基準の制度でもグループホームにおいては1ユニットにつき1人夜勤の介護職員を配置する必要があると規定されていますが、上述の3ユニットに対する2人の介助職員の制度を利用すると、利用者数に対して介護職員の数が少なくなります。
この人数で手厚い介護の質を落とさずサービスを提供することはかなりの努力が必要になります
 
そこで、ICTを導入し業務を効率化することで、介護業務の負担を減らし手厚い介護業務を行うことができるようになります。
例えば、見守り支援機器を使用することで、夜勤帯に見回りを行う時間を節約することができ、介護職員の負担を減らしながら迅速な通知による対応ができ、安心したサービスを提供することができます。

実際、夜勤帯における人員配置基準の緩和の特別措置が始まって2年経った後に厚生労働省が調査した報告書を確認すると、41.1%の施設が見守り支援機器を導入しており、そのうち94.9%の施設が見守り支援機器を使用し続けていると回答しています。
このことからも見守り支援機器の導入はグループホームで有用であると考えられる分、今のうちから検討してみるのも良いでしょう。
 
▼見守りシステムを使用した具体的な事例はこちら
https://lashic-care.jp/case_facility/chitosedai-sakurasou
https://lashic-care.jp/case_facility/kotobukikai
 

令和3年度の介護報酬改定による配置基準緩和

介護現場では、仕事と育児や介護などとの両立を目的として令和3年度の介護報酬改定によって、人員の配置基準の緩和が行われました。
内容としては、「常勤換算の計算を行う際に育児や介護での短時間勤務制度を利用している介護職員に限り、週に30時間以上勤務を行なっていれば常勤として計算を行なって良い」、「人員配置基準において配置を求められる職員が産前産後休暇や育児休暇などを取得した際に、同様の資格をもつ複数の非常勤職員を用いて常勤換算の計算を行なっても良い」とされています。

この改定によって、介護職員が産休や育休を取りやすくなったことと、施設の管理者も人員基準を達成しやすくなったことが言えます。
このような制度を利用することで、退職者を減らし人員基準を達成しやすくなります。
また、上述したグループホームにおける夜勤帯の人員配置基準の緩和も令和3年度の改訂の時に制定された制度となります。
 

まとめ

以上、グループホームにおける人員基準についての解説を行いました。人員基準は職種によって決まっており、介護職員における基準は令和3年の改訂によって緩和されています。
 
また見守りシステムなどのICT機器を使用する際には、個々の施設で利用者の状況や運営上施設のご事情も様々おありのことと思います。
まずは気軽に相談してみたいという介護施設の方も、現場を熟知した営業担当者がお客様へ寄り添ったサポートを提供させていただいておりますので、お問い合わせより無料でご相談ください。

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