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通所介護(デイサービス)の人員基準は?最低人数や必要資格、設置基準・運営基準を合わせて解説

作成日:2024/06/19

更新日:2024/10/23

通所介護(デイサービス)とは、在宅で生活している要介護者に対して、できる限り自立した生活を送ってもらうために必要な日常生活上の世話や機能訓練を行う通所型の介護サービスです。


サービスの内容は、日常生活の世話として入浴・排泄・食事などに加え、機能訓練を日帰りで行なっています。基本的には利用者の家まで送迎があることが一般的です。

デイサービスの中には、利用者が楽しめるレクリエーションを企画してくれる施設やリハビリテーションに特化している施設など、さまざまな特徴があります。

今回の記事では、デイサービスにおける人員基準や設置基準、運営基準の概要を合わせて解説します。



職種別にデイサービスの人員基準を解説



デイサービスの人員基準は介護保険法・省令によって決まっており、始めに職種別に分けて一覧で解説します。


管理者

デイサービスの人員基準では管理者を置くことが必要になります。管理者の人員基準の要件は常勤で1名の配置が必要と定められています。

デイサービスの管理者になるために必要な資格の要件は特になしとなっています。しかし、デイサービスの管理を行うためには介護や福祉などの知識及び経験が必須になります。

管理者は以下の要件を満たした上で、事業所の管理業務に影響のない場合、他の職務を兼任することができます。


  1. 通所介護事業所の従業員としての職務に従事する場合。
  2. 同一敷地内にあるまたは道路を隔てて隣接する等、特に事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がる場合に、他の事業所、施設等の管理者または従業者としての職務に従事する場合。


つまり、同一デイサービスもしくは敷地が隣接している他施設の管理者や生活相談員などの職種との兼務が可能ということになります。


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生活相談員

生活相談員とは、デイサービスの利用者やその家族の抱える悩みや相談などの対応、ケアマネージャーとの連絡、他の介護施設との連携など主に施設の窓口としての役割を担う職種です。

施設によってはソーシャルワーカーと呼ばれることもあります。

生活相談員の人員基準は事業所ごとにサービス提供時間に応じて専従で1名以上と定められています。

この基準は勤務延べ時間数/事業所のサービス提供時間が1以上になる必要があります。勤務延べ時間数には労基法に載っている確保するべき休憩時間や、サービス担当者会議・地域ケア会議に出席している時間なども含めることができます

資格要件は社会福祉主事、社会福祉士、精神保健福祉士、都道府県によってはそれらと同等以上の能力を有すると認められるものとなっています。(都道府県によっては、介護支援専門員・実務経験が通算一年以上の介護福祉士も含まれます。)

また、生活相談員もしくは後述する介護職員のうち一人以上は常勤であることが必要です。

 

介護職員・看護職員

デイサービスにおける介護職員の仕事内容は、利用者の見守りや食事・入浴・排泄などの身の回りの世話、レクリエーションの企画・運営などです。

また、事業所によっては送迎車の運転や同行を行い利用者の送迎を行ったり、利用者やその家族への連絡を行ったりすることも業務に含まれることもあります。看護職員の主な業務は利用者の健康管理になります。

具体的な内容としては、日々の血圧などのバイタルサインの確認、内服薬の確認、口腔ケア、必要であればインスリン注射や胃ろうの管理、褥瘡や傷口の管理を行います。

また、利用者の全身状態に異常があれば近隣の医療機関との密接な連絡を取り合うこともあります。

しかし、実際の業務内容としては利用者様の健康管理を行なった後に介護職員のサポートを行うことが一般的です。


介護職員は常勤換算を使用し、単位ごとにサービス提供時間に応じて専従で①利用者の数が15人までであれば1名以上、②利用者の数が15人を超える場合は利用者の数が1名増えるごとに0.2を加えた数以上とされています。

また、単位ごとに常時1名以上配置する必要があります。看護職員(看護師もしくは准看護師)は単位ごとに専従で1名以上とされていますが、デイサービスの提供時間を通じて専従する必要はなく、訪問看護ステーション等との連携も可能とされています。

つまり、デイサービスに利用者がいる時間帯にのみ訪問看護ステーションから看護職員を派遣してもらっても良いとの決まりになっています。

利用者の定員が10名以下の地域密着型通所介護事業所の場合は看護職員もしくは介護職員1名以上の配置で可能と定められています。


機能訓練指導員

機能訓練指導員とは、利用者一人ひとりに合わせて機能訓練を行い、できる限り利用者が自身の身の回りの生活動作の自立ができるように支援を行う職種を指します。

そのため、個別機能訓練加算などの算定に関わらず専従で一人以上の人員基準としての配置が必要になります。

利用者の生活環境や現在の身体機能などを評価した上で、機能訓練計画表を作成し機能訓練計画に沿って、利用者の機能訓練を行います。


デイサービスにおける機能訓練指導員の資格要件は、理学療法士のほか、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師もしくはきゅう師と定められています。

はり師もしくはきゅう師はその他の職種(上述の機能訓練指導員に含まれる職種)が配属されている施設で6ヶ月以上機能訓練に携わった経験を持つものに限ります。


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利用人数が少ない場合(10人以下)

デイサービスの中でも利用者数が18人以下の施設のことを地域密着型通所介護と呼びます。

この地域密着型通所介護では、10人以下の施設に限り、次のように人員基準が定められています。

管理者は1名常勤で勤務体制を組む必要があります。生活相談員は1名以上の配置が必要になりますが、非常勤でも可能です。

介護職員・看護職員に関しては、どちらかの職種が1人以上いれば良いと定められています。機能訓練員はいずれかの資格を有する職員が1人以上必要となっています。

地域密着型通所介護では、上記のように定められており、通常のデイサービスとの大きな違いは介護職員と看護職員の人員基準が違う点であることがわかります。


人員基準を満たせなかった場合はどうなる? 



ここまで、人員基準について説明しました。次からは人員基準を満たせなかった場合について解説します。


違反した場合は人員基準欠如減算に該当する

デイサービスを運営している中で、職員の退職や産休などの長期の休暇によって厚生労働省が定めている最低限の人員基準を満たせなくなってしまうことがあるかもしれません。

こういったケースでは人員基準欠如減算に該当してしまいます。この人員基準欠如減算とは、人員基準を満たしていない施設の介護報酬を30%カットする減算のことです。

介護施設は基本的に介護報酬が収入源になるため、この減算が適応されると他の加算も算定できなくなることもあり、経営が難しくなるため必ずチェックするよう注意が必要です。

また、人員基準より職員の数が下回った際に虚偽の報告を行うと、新規の利用者の受け入れ停止や介護請求の一部停止などの追加の行政処分を受ける可能性があります。

さらに、虚偽の報告を継続して行うなどの悪質と判断された場合、介護事業所の指定取り消しをされてしまうことがあります。

介護事業所の取り消しを行われてしまうと、そのデイサービスは経営ができなくなるため、もし人員基準を下回っても虚偽の報告は行わないようにしましょう。

また、人員基準による減算が解消された場合は、「介護給付費算定に係る体制などに関する届出書」を提出することが必要です。


看護師・生活相談員の人員基準緩和

デイサービスの人員基準は国家資格者が必要になり、満たすことが難しい基準となっています。その中で厚生労働省は、2015年の介護報酬改定に伴いデイサービスの人員基準の緩和を発表しました。


具体的な内容としては、看護職員と生活相談員に関する人員基準の緩和です。

看護職員は、必ず常勤で1名以上の看護師が必要な状況でした。

法改正後のポイントは、看護職員を常勤で配置することができない場合、近くの病院、訪問看護ステーション、クリニックと提携し、デイサービスの提供時間帯に看護職員が利用者のバイタルチェックなどの健康状態を確認できるようにすれば人員基準を満たしているとされるようになったことです。


この制度を使用するためには、利用者の健康状態に変化があった際に近くの医療機関がすぐに連携できる状態にしておくため、各医療機関とデイサービスの看護職員は密に連絡を取れるようにしておく必要があります。

利用者が急変した際に対応できるように訪問看護ステーションと連携しておくことも重要です。


また生活相談員の人員基準は、法改正前は事業所内での相談業務のみが勤務時間として認められていました。

法改正後では、サービス担当者会議や利用者のご自宅へ訪問するなどの外出も業務時間として認められるようになりました。

従来ではデイサービス内でのみ相談業務を行っていた生活相談員が訪問業務などに関われるようになったことで、実際の利用者の生活を見ることができ、より適切なサービス調整や利用者の相談を行えるようになりました。


常勤時間の緩和

基本的にデイサービスの常勤時間は最低で1週間あたり32時間と決められています。

常勤人数を算出するための計算式は、常勤スタッフの人数+(非常勤スタッフの勤務延時間数/常勤スタッフの勤務するべき時間)、となっています。


現在では、育児や介護目的に時短業務を行っている職員に関しては1週間あたり30時間で常勤とカウントできるようになりました。

そのため、時短業務を行うスタッフは1日6時間×5日間や8時間×4日間など、その職員の生活スタイルに合わせた働き方が行いやすいようになっています。




デイサービスの指定基準



デイサービスでは人員基準の他に施設の設置基準、運営基準があります。以下でそれぞれについて解説します。


施設の設置基準

デイサービスにおける施設の設備基準は、経営上必要になる部屋や物品に関して定められています。それぞれの基準を以下に記載します。

機能訓練室/食堂:それぞれの合計が利用者1人あたり3m2以上になるように設計する必要があります。

相談室:相談内容が漏えいしないように配慮されている必要があります。そのため、特別に部屋を作る必要はありませんが、パーテーションなどの遮蔽物を使用しプライバシーの保護ができるように工夫が必要です。

厚生労働省では上記の3つの施設を規定しています。また、都道府県ごとに事務室、静養室、浴室、便所などの規定をしているため、デイサービスを運営する際は検討している自治体の基準を確認する必要があります。


デイサービスの運営基準

指定居宅サービスであるデイサービスを経営するためには、上述の人員基準と施設基準、運営基準を理解したうえで遵守する必要があります。

この運営基準とは、サービスの提供内容や提供方法、事故や災害への対策などの事業者が守らなければならないルールのことです。

例えば、通所介護計画書ではケアプランから計画されたご利用者様の目標や提供する支援について記載し用意する必要があります。

これら以外に項目も多くあり、全部で35項目あります。運営基準ではサービスの提供の記録、利用料の受領、事故発生時の対応などが規定されており、この基準にそってデイサービスを運営していくことが求められています。


開所の際はスタッフの採用を早めに行う

デイサービスを開所するにあたり、人員基準は必ず満たす必要があります。もし、人員基準を維持できない場合は介護事業者としての指定を受けることができません。

一般的に、デイサービスの求人は掲載してから実際に職員を採用するまでに2〜3ヶ月程度かかると言われています。

そのため、開業時から人員基準を満たすようにスタッフを採用するためには余裕を持ったスケジュールで計画を立てる必要があります。

年始や年度初めなどの時期の開業を目指すなど、転職者が来やすいタイミングでの求人を行うことも重要です。

 

定着のための取り組み例



人員配置基準は一度満たせばそれだけで良いものではなく、継続して満たし続ける必要がある基準です。最後に離職者を減らし、職員を定着させるための取り組み例について紹介します。


環境を整える

 離職者を減らすための方策として重要な点は環境を整えることになります。介護職の離職理由として多く挙げられることは「人間関係」、「将来性への不安」、「収入面」となっています。

人間関係は、人員不足などで業務の負担が大きくなると悪化しやすいと言われています。そのため、人員が減った際は速やかな求人を行うことなどの方策を行う必要があると考えられます。

また、転職者や新入職が早く馴染めるようにメンター制度なども検討しても良いでしょう。

将来性への不安に対しては、研修制度や専門資格取得の補助などキャリアアップ支援を行うことなどが挙げられます。

このように、職員が離職してしまう理由を把握し、事前に対策を行っておくことが非常に重要です。


インカムをとおして円滑なコミュニケーションを

介護職員の負担を軽減する方法として、ICTの導入があります。その中でも、職員間のコミュニケーションを円滑に行うためにインカムを導入している施設が増加しています。

インカムのメリットは直接他のスタッフに会わなくても情報の共有ができる点と複数人のスタッフに同時に情報を発信・受信することができることです。

デイサービスではスタッフ間で情報共有を行うことが非常に重要であり、情報共有を円滑にしてくれるインカムを導入することは職員の負担軽減につながります。

インカムの導入には補助金も使えるため、ぜひ導入の検討をしてみましょう。


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まとめ 

以上、デイサービスの人員配置基準について、施設基準や運営基準も交えながら解説を行いました。

デイサービスの人員配置基準は資格が必要な職種も多く、満たすためには工夫が必要になります。


労働環境を整えることで新規の雇用を拡大したり、離職を防ぎ人材を確保することが可能なため、ぜひICTの導入などを利用して、労働環境を改善していきましょう。

これから現場の環境を変えていきたいと考える管理者の方も多いのではないでしょうか。ICT導入について相談したい方がいらっしゃいましたら、現場を熟知した営業担当より詳しい資料とともにご説明をさせていただきますので、無料でお問い合わせください。

本記事が、皆様がデイサービスを運営される際の参考になれば幸いです。

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