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看取りケアの内容や介護施設の種類、介護施設における看取りのメリットデメリットを詳しく解説!

作成日:2024/08/05

更新日:2024/10/23

介護施設で行われるケアは、「看取りケア」や「ターミナルケア」、「緩和ケア」など、似たようなケアが多く、内容が混在してしまいがちです。
看取りケアの目的は、身体的・精神的苦痛を和げながら、ご利用者様の人生の最期を迎える過程に寄り添い、観察や過ごしやすくなる環境の見直しなどを行うことです。
本記事では、介護施設で行われる看取りケアの内容や介護施設の種類について解説します。

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介護施設における看取りのケアとは

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介護施設で行われる看取りケアとは、ご利用者様が最期を迎えるまでの苦痛や痛みを緩和しながら、「死」を迎えるまでのサポートを行うことです。
人は終末期を迎えると、だんだん食事を摂らなくなったり、ベッド上で過ごす時間が長くなる傾向にあります。

また、認知機能の低下が進むと、本人の意思が確認できなくなってしまうことも多いです。
基本的に、介護施設では「胃ろう」「腸ろう」「経鼻経管栄養」などの延命治療を行わず、ご利用者様の自然な最期に寄り添います。
ご利用者様の負担が少なくなるよう、医師や病院などの医療サービスとの連携を図りながら、必要な処置や点滴などを行う場合もあります。

痛みや不快感の緩和を行う身体的ケア

人は亡くなる前(終末期)を迎えると、病状の悪化や廃用症候群の進行により、痛みや苦痛、不快感を感じます。

特に、「廃用症候群」は、褥瘡(床ずれ)や筋肉の萎縮、関節の拘縮などで、身体が自由に動かせなくなってしまうことが特徴です。
そのような状態になってしまった場合でも、楽に過ごせる環境を整えたり、寝返りの介助を行うことで、ご利用者様が安楽に過ごせるための対応を行います。

病気により、栄養管理や医療行為が必要な患者様向けの老人ホームもありますので、サイトで探すことはもちろん、直接老人ホームに問い合わせてみてください。

不安や恐怖、孤独感の軽減を行う精神的ケア

介護施設に入居している高齢者の方は、老いや死を迎えることへの不安感、1人で亡くなっていく孤独感を感じ、精神的に弱っている方が多いです。

「自分はこの先どうなっていくのだろう」と考えると、不安が尽きません。身体的な苦痛に加えて、死期を目の前にすることの不安は計り知れません。
そのため、介護士や看護師などの職員は、ご利用者様が抱えている不安や悩みに寄り添ったコミュニケーションを図ることが求められます

また、ご家族の方からも大切な家族様を看取ることへの不安、日常生活で出来ないことが増えていくことへの不安などを相談されることが多いです。
忙しいからと後回しにすることは避け、しっかりと時間をとって話を傾聴するようにしましょう。

施設で対応できる看取りケアや医療との連携体制などを説明した上で、ご利用者様のご家族様の方から「もっとこうしてほしい」という希望を聞いておきます。
ご家族様の方からの相談を職員間で共有することで、看取りケアの質が高まります。

ご利用者様ご本人にも、お元気なうちから延命治療に対する意向や、利用したい介護 サービス(介護施設・訪問看護など)を確認し、意向を尊重することが重要です
高齢化が進む現在、人生の終わりが見込める時期を迎えると、精神が不安定になり、 心が落ち着かないまま死亡してしまう高齢者が増加しています。

ご利用者様ご本人がお元気なうちに、最期を迎える場所や過ごし方を選び、人生の終わり方について納得してもらうことがおすすめです。
住み慣れた自宅に近い環境の中、ご家族の方と協力して死期への準備を進めることで、亡くなった後のご家族の方の後悔を防げます。

家族様や友人とのコミュニケーション支援を行う社会的ケア

介護施設は病院とは異なり、ご利用者様が入居する場所でもあります。そのため、介護施設によっては「利用者様」と呼ぶ施設や、「入居者様」と呼ぶ施設もあるのです。
基本的には、ご利用者様のご家族様の方だけでなく、友人や知人、親戚の方など、どなたでも来訪することが可能です。

終末期に入り、昏睡状態が続いている場合でも、「耳だけは最期まで聞こえている」とよく言われています。
介護士や看護師などの職員は、面会に来た方に対して、ご利用者様へのコミュニケーションやスキンシップを促すことが大切です。

快適な生活環境の提供を行う環境整備

穏やかな最期を迎えるためには、これまで生活していた環境とは異なる、快適な生活環境の提供を行うことが大切です。
介護施設でよくあるのは、認知症のご利用者様が間違えて他のご利用者様の部屋に入ってしまったり、ご利用者様同士が喧嘩になったりというトラブルです。

終末期のご利用者様がいる部屋に他のご利用者様が間違えて入って来られると、快適さと尊厳を保った看取りケアを行うことができません。
静かで落ち着いて過ごせる個室に部屋を移し、最適な室温・湿度、身体への負担にならない軽めの布団または毛布を用意しましょう。

医師によるターミナル診断を受けた後は特に、体調の変化をチェックし、できるだけ医療機関やご家族の方とのデータ共有を行うことが大切です。

看取りができる介護施設とは

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介護施設だからといって、必ずしも看取りケアに対応しているわけではありません。
例えば、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、入居者様の容態が急変したり、意識消失・心肺停止が起きたりした場合は、救急要請を行います
そのため、要介護度が進んだ場合や、終末期を迎えた場合は、グループホームから退居を言い渡されることもあるのです。
下記では、看取りケアが受けられる介護施設を4つご紹介します。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホーム(特養)は、原則として「要介護3以上」の介護認定を受けた方が、終身利用できる介護施設です。
日常生活全般における身体介護や生活援助を受けられる上、終末期を迎えた場合は看取りケアから亡くなった後まで丁寧なケアを行います。
そのため、特別養護老人ホームは非常に人気が高いことが特徴です。少なくても数十名から、多くて数百名の入居待機者がいます。
もし家族様に介護が必要になったら、早めに特別養護老人ホームに入居相談をしておくことで、入居できる可能性が高まります。

介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設(老健)は、長期間の入院生活で介護が必要になってしまった高齢者を受け入れ、リハビリに特化した介護サービスを行う介護施設です。
しかし、介護老人保健施設では、3ヵ月に1回の入居審査があり、「在宅介護可能」と判断された場合、退居を命じられます。

介護老人保健施設には「リハビリに特化している」「一時的な入居のみできる」というイメージを持つ方が多いはずです。
入居期間中にもしご利用者様が終末期を迎えた場合や、亡くなった場合は手厚い看取りケアを行ってもらえます。

介護医療院

介護医療院は、治療の見込みがない慢性期の医療を必要としている方の医療ニーズに対応するために創設されました。
経管栄養や喀痰吸引など、日常生活上で必要な医療的ケアを実施し、ご利用者様やご家族様の方のプライバシーや尊厳に配慮した看取りケアを行います。
医療との連携が密なため、24時間体制での医療的ケアが必要な方や、寝たきり状態で全介助が必要な方の入居に適しています。

有料老人ホーム

有料老人ホームには、「介護付き」と「住宅型」の2種類があります。

介護付き有料老人ホームでは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設と同様に、介護職が24時間体制でご利用者様の介護を行います。
ただ、有料老人ホームは民間企業が運営しているケースが多いため、社会福祉法人が運営する介護施設よりも入居費用が高いところがデメリットです。

住宅型有料老人ホームでは、自立している方から、介護が必要な方まで、どのような方でも入居することが可能です。
ご利用者様お一人おひとりの介護度や心身状態に応じて、外部の訪問介護事業所やデイサービスを利用することができます。
いずれの有料老人ホームも、ご利用者様の看取りケアに対応しています。

看取り介護加算の算定要件

看取りケアが必要になった際、通常の入居費・介護費に「看取り介護加算」が上乗せされて請求されます。
看取り介護加算とは、2006年に創設された加算制度です。主治医が「回復の見込みがない」と判断したご利用者様が対象です。

ご本人またはご家族様の方が看取り介護を希望した場合、介護施設が訪問医もしくは委託医、看護師などの医療職と連携を図る場合に加算されます。
看取り介護加算が認められている介護施設・介護事業所は下記の通りです。

  • 特別養護老人ホーム
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 介護付き有料老人ホーム
  • 介護付きケアハウス
  • 養護老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅


まだまだ、看取りケアに対応していないグループホームがありますが、看取り介護加算制度により、看取り対応型のグループホームが増えてきています。

また、看取り介護加算を受け取るには、以下の2つの種類があり、それぞれの条件を満たすことで看取り介護加算が適用されます

看取り介護加算(Ⅰ)の条件・病院または診療所、常駐している看護師もしくは訪問
看護ステーションの看護師と、24時間体制で連絡できる
連携体制が整っていること
・看取りケアに関する指針を決め、介護施設に入所する
ご本人とご家族の方に説明して同意を得ていること
・看取りケアの指針について、医師や看護師、介護職、
ケアマネジャー、生活相談員などで適宜見直すこと
・看取りケアに関しての職員研修を行うこと
・個室あるいは静養室で看取りケアが行われ、ご利用者様
およびご家族の方、周囲のご利用者様に配慮していること
看取り介護加算(Ⅱ)の条件・(Ⅰ)の条件をすべて満たした上、複数の医師が
配置されていること
・もしくは、24時間対応できる医師と協力関係にあること


には、以下の2つの種類があり、それぞれの条件を満たすことで看取り介護加算が適用されます
・参照元:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000768899.pdf

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看取り介護の流れ

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看取り介護では、具体的にどのような「内容」「流れ」「手順」で、行われるのでしょうか。
ここからは、介護施設で行われる看取り介護の流れをご紹介します。

step1 安心して過ごすための環境整備
看取りケアでは、まず初めに4人部屋や2人部屋から、個室に移動してもらいます。
室内の室温・湿度・照明を調節し、ベッド上では楽な体勢で過ごせるよう、
クッションを使いながら体位交換を行います。

step2 身体的なケア
看取りケアを必要とするご利用者様が快適に過ごすためには、日常生活に必要な介護ケアを行い、身体を清潔にすることも大切です。

固形食が食べられない場合は、水分やアイスを勧めたり、口腔ケアを行ったり。入浴が困難な場合は、清拭(温タオルで全身を拭く)や褥瘡(床ずれ)の処置を行い、身体的な苦痛を緩和します。

step3 メンタルケア
すでに寝たきり状態で、自分自身の言葉で意思を伝えることが難しいご利用者様でも、老いや死に対する不安感や孤独感を感じています。


また、「人は亡くなる直前まで耳が聞こえている」と言われており、介護職やご家族様の方が話しかけた言葉をしっかり理解しています。
もしご利用者様ご本人が会話でのコミュニケーションを取ることが困難でも、寄り添いながらコミュニケーションやスキンシップを図ることが大切です。
ご利用者様が不安や孤独感、恐怖心を訴えかけてきた場合は、気持ちに寄り添い、話を傾聴・受容(受け入れる)・共感することが重要です。

介護施設での看取りのメリット

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病院や自宅など、介護施設以外でも看取りを行える場所がある中で、介護施設で看取りケアを行うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、介護施設で看取りケアを行うメリットをご紹介します。

緩和ケアや疼痛管理などといった高度な専門的なケアが受けられる

介護施設には、介護福祉士の資格を有している介護職や、看護師、リハビリ職(理学療法士・柔道整復師など)、さまざまな職員が在籍しています。
それぞれが持つ知識・技術を話し合うことで、看取りを迎えるご利用者様にとって最適な「緩和ケア」や「疼痛管理」が行えるようになります

がんや心臓疾患、寝たきりによる廃用症候群など、看取りケアを必要としているご利用者様の病状はさまざまですが、身体的な痛みや苦痛を感じることが多いです。
それぞれの専門職が持つ専門知識を活かした緩和ケア・疼痛管理を行うことで、少しでもご利用者様の痛みや苦痛を取り除くことができます。

24時間介護を行う負担がなく家族様の負担が軽減する

介護施設は、介護職や看護師が24時間体制でご利用者様の見守りやケアを行います。
看護師が24時間常駐していない介護施設もありますが、オンコール体制のため、介護職から連絡を受けた場合は夜中でもすぐに駆けつけます。

自宅での家族様介護とは異なり、介護職や看護師が24時間体制での見守りやケアを行うため、家族様の負担が大きく軽減することが最大のメリットです。

介護施設での看取りのデメリット

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介護施設では、病院や自宅などよりも、充実した専門的な看取りケアを受けることができることがメリットです。
その反面で、年々進行していく高齢化社会に介護施設がまだまだ追いついていない部分も多少見られるのが現状です。ここからは、介護施設で看取りケアを受けるデメリットについてご紹介します。

地域や施設数などの制限により、希望する施設に入所できない場合がある

「要介護度が急激に進んだ」「看取りが必要な状況になりつつある」など。
看取りに不安を感じるご家族様の方が介護施設を探しても、空きがある介護施設がすぐに見つからない場合が大半です

また、地域密着型サービスを利用する場合、お住まいの地域と同じ地域にある介護施設を探さなければなりません。
介護施設の数は限られている上、空きがないという理由で断られてしまうことも。結局、自宅や病院で看取ることになってしまったという方も大勢おられます。

一人ひとりに対する個別のケアが十分に行かないなど個別性の不足

介護施設では、1人のご利用者様に対し、1人の介護職が担当になるということはまずあり得ません。

少子高齢化の影響を受け、介護職の人手不足が問題視されている現代社会。他のご利用者様の対応に追われてしまい、一人ひとりの利用者に個別で丁寧にケアを行うことは難しい状態です。
そのため、「放ったらかしにされている」「きちんと様子を見てくれているか不安」といった、ご家族様の方の不安の声をよく耳にします。

まとめ

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介護保険制度や介護施設がまだ整備されていなかった時代は、病院または自宅で最期を迎える方が多かったのが現状です。
しかし、年々進行していく高齢化に適応できるよう、現代社会では看取りケアやエンゼルケアなど、さまざまなケアに対応できる介護施設を目指しています。

これからの時代、病院や自宅よりも介護施設で最期を迎える方が増えていくことが見込まれています。
そのため、早めに看取りケアに対応している介護施設を探しておくことが得策です。

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