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2024年から介護職は無資格で働けなくなる?義務化した認知症介護基礎研修について解説

作成日:2024/07/05

更新日:2024/08/05

「介護職は無資格でも働ける」と思っている方も多いのではないでしょうか?
実は、2024年4月より「認知症介護基礎研修」を受講しなければ介護職として働けなくなりました。

本記事は、義務化した認知症介護基礎研修について詳しくお伝えいたします。
認知症介護基礎研修が義務化された理由や対象者、受講方法を解説しますので、今後、介護職として働き続けたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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無資格では働けなくなる?

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「介護士は無資格だと働けなくなる?」と不安に思っている方もいるでしょう。
この章では、認知症介護基礎研修の概要や無資格の職員に対する施設の対応について紹介いたします。

2024年から認知症介護基礎研修が義務化

2024年4月から、介護職として働くためには、認知症介護基礎研修の受講が義務化されました。
そのため、現在無資格で働いている方や、今後介護職になりたいと希望している方、将来的に介護業界で活躍したい方は、新たに資格を取得しなければなりません。

無資格の職員には一年間の猶予がある

認知症介護基礎研修の受講は、無資格の職員には一年間の猶予措置があります。
つまり、現時点で無資格の場合も介護職として働くことは可能です。
転職などで無資格で介護職員として入職した方は、入職してから1年以内に認知症介護基礎研修の受講を修了しましょう。

無資格の職員がいた場合の施設側の対応

無資格の職員がいた場合は、施設側で無資格者の業務内容を制限しなければなりません。
無資格の介護職員ができる業務は、以下の通りです。

  • 介護施設での生活援助
  • 介護施設での身体介護
  • 事務作業


1つずつ、どのような業務なのかを見ていきましょう。

介護施設での生活援助

生活援助とは、掃除や洗濯、ベッドメイク、食事の準備、買い物代行などを始めとする日常生活を支援するサービスです。
利用者本人の自立を支援する目的で行われ、利用者の身体に直接触れない業務となります。
これらの業務は、介護の知識やスキルが必要ないため無資格者でも実施可能です。

ただし、利用者の緊急時の対応が求められる訪問介護の場合は、「生活援助従事者研修」以上の資格が必要なことを把握しておきましょう。

介護施設での身体介護

身体介護とは、食事介助や排泄介助、入浴介助、更衣介助、移乗介助など、利用者の身体に直接触れながら行う介助行為です。
実際にはこれらの業務は、有資格者の監視下であれば無資格者でも実施できます。
万が一、1人で利用者の自宅を訪問する場合は、身体介護をできないため注意しましょう。

事務作業

来客対応や電話応対、書類の整理、備品の管理などの事務作業は無資格でも実施可能です。
他にも、介護報酬請求業務は介護保険に関する知識は必要ですが、資格がなくても仕事はできます。
しかし、専門的な知識を深めるためにも介護事務に関する資格の取得や講座の受講がおすすめです。

認知症介護基礎研修とは

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認知症介護基礎研修は、なぜ義務化されたのでしょうか?
義務化された理由や受講するメリット、受講対象者について解説いたします。

義務化された理由

認知症介護基礎研修が義務化された理由には、「認知症の方の増加」と「スタッフの認知症への理解力の向上」の2つがあります。

日本全体の高齢者人口は年々増加しており、2024年時点での65歳以上の人口は3620万9千人、75歳以上の高齢者人口は2020万7千人です。

このまま行くと、2070年には2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になると言われています。
このように、今後も認知症の方の増加が見込まれ、介護施設や事業所が認知症ケアの知識を有している状況が求められるでしょう。

また、今までは無資格者を対象とした基礎的な認知症ケアの研修がありませんでした。
​​認知症介護基礎研修が義務化されたことで、無資格者でも、認知症ケアに関する知識やスキル、考え方などを学ぶ機会が確保されます。

受講するメリット

認知症介護基礎研修を受講する大きなメリットは、

・認知症ケアに関する知識が身につくこと
・介護職としてのキャリアアップにつながること

の2点が挙げられます。1つずつ具体的に見ていきましょう。

メリット①認知症ケアに関する知識が身につく

認知症介護基礎研修では、介護現場で必要となる基礎的な認知症ケアの知識やスキル、考え方について学べます。
認知症介護基礎研修のカリキュラムの一例は、以下の通りです。

【カリキュラムの項目例】

内容
序章・認知症を取り巻く現状
・わが国の認知症施策の動向(認知症施策推進大綱の概要)
1章・認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方
・パーソン・センタード・ケア
・認知症の人への偏見・誤解とその解消
・介護者の視点
・認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援とは
2章・認知症の定義と原因疾患
・認知症とはなにか
・認知症の原因疾患:アルツハイマー型認知症の原因と主要な症状
・血管性認知症の原因と主要な症状
・レビー小体型認知症の原因と主要な症状
・前頭側頭型認知症の原因と主要な症状
3章・認知症の中核症状と行動・心理症状の理解
・中核症状の生活への影響
・中核症状が心理面に与える影響
・行動・心理症状のとらえ方と出現原因
・認知症の人にとっての環境
・健康管理
4章・認知症ケアの基礎技術
・認知症の治療
・認知症の人の適切な関わり方
・認知症の症状への対応
・意思を尊重する支援方法とは
・チームケアの基本
・家族介護者の理解と支援方法


参照:社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修仙台センター|認知症介護基礎研修 eラーニングのご案内

認知症ケアの正しい知識を身につければ、認知症の方とのコミュニケーションが円滑になり、介護負担の軽減にもつながるでしょう。

メリット②介護職としてのキャリアアップにつながる


出典:介護従事者等の認知症対応力向上の促進(厚生労働省)

認知症介護基礎研修を修了すると、より上位の認知症介護実践研修の受講資格を獲得できるのがメリットです。
「認知症介護実践者研修」「認知症介護実践リーダー研修」「認知症介護指導者養成研修」の順で取得でき、介護職としてのキャリアアップにつながります。
それぞれの資格の概要一覧は、以下の通りです。

資格概要
認知症介護実践者研修認知症ケアについての実践的な知識やスキルを修得するための研修。
認知症介護実践リーダー研修認知症介護実践者研修で修得した知識やスキルをさらに深め、ケアチームで効果的に認知症介護を進められる指導者を育成するのが目的の研修。
認知症介護指導者養成研修認知症介護の知識やスキルをさらに高め、介護施設や事業所で提供する介護サービスの質の改善に寄与できる人材を養成するのが目的の研修。


上位資格を取得するには実務経験などの条件が設けられているため、計画的にキャリアプランを立てるのが重要です。

無資格の介護職員が対象

認知症介護基礎研修の対象者は、すべての介護サービス事業所において無資格で直接介護に従事している職員です。
福祉や医療の資格を持っていない方は、必ず受講しなければなりません。

受講が免除になる職員

すでに医療福祉分野の国家資格を取得している方、もしくは、介護職員初任者研修や認知症介護実践者研修などの公的研修を修了している方は、認知症介護基礎研修の受講が免除になります。
受講が免除される資格や研修は、以下の通りです。

受講が免除される資格
医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師、介護福祉士、社会福祉士、
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、管理栄養士、栄養士、
あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、はり師、きゅう師、介護支援専門員など
受講が免除される研修
実務者研修、介護職員初任者研修、生活援助従事者研修、介護職員基礎研修課程、
訪問介護員養成研修一級課程・二級課程、認知症介護実践者研修、
認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修など


他にも、学校で認知症に関する科目を受講している場合や、直接介護に携わらない職員も免除の対象となります。

受講が免除されるその他の条件
福祉系高校で認知症に関わる科目を受講している(卒業証明書が必須)
養成施設で認知症に関わる科目を受講している(卒業証明書および履修科目証明書が必須)
人員配置基準上、従業員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者


ただし、認知症ケア指導管理士や、認知症サポーター養成講座といった民間資格を保有していても、免除の対象にはならないことを把握しておきましょう。

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認知症介護基礎研修の受講方法

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ここからは、認知症介護基礎研修の受講方法と受講時間について解説いたします。

受講方法

認知症介護基礎研修の受講方法は、主にオンライン上で完結するeラーニングと対面で実施する集合型研修の2種類です。
ここでは、eラーニングの受講までの手続きの流れを紹介いたします。

まず、事業所の責任者が、認知症介護基礎研修eラーニングサイトにて「事業所の登録」をしてください。
事業所の登録後は、eラーニングシステムより「事業者コード」が発行されるため、受講者はメールアドレスを登録しましょう。
その後、フォームに氏名や生年月日、事業者コードなどを入力すると、受講IDを取得できます。
登録完了通知を受信し、受講料を支払えば、これで申し込みは完了です。
受講費用は自治体により異なりますが、多くの場合3,000円前後でしょう。費用の詳細は、各自治体で確認してください。

申し込み終了後は、認知症介護基礎研修eラーニングシステム専用サイトからログインして受講しましょう。
各章を動画で学習し、それぞれの試験に合格すれば「修了証書」が発行されます。

受講時間

eラーニングで受講する場合は、動画の視聴時間約150分と各章の試験時間がかかります。
一方、集合型研修の場合は、講義3時間と演習3時間の合計6時間程度で、どちらも1日あれば取得可能です。

未経験からの介護職の受け入れはどうなる?

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最後に、未経験からの介護職の受け入れに関して解説いたします。
認知症介護基礎研修は最短1日で取得できるため、早めに受講するのがおすすめです。

認知症介護基礎研修は1日で取得が可能

先述したように、認知症介護基礎研修は6時間程度あれば取得できます。
また、eラーニングを選択した場合は、一度パソコンを閉じても、自分の都合に合わせて再びログインすれば途中から受講可能です。

さらに、受講終了後も、繰り返し学習できるため、認知症ケアの基本を着実に吸収できるでしょう。
認知症介護基礎研修の難易度は、それほど高くないため安心して受講してください。

資格の取得をサポートしている施設もある(自社でも導入を検討)

施設によっては、認知症介護基礎研修の受講をサポートする制度がある場合もあります。
これから認知症介護基礎研修を受講しようと考えている方は、職場の上司や施設の責任者に相談してみましょう。

まとめ

本記事では、認知症介護基礎研修が義務化された理由や対象者、受講方法を解説しました。
2024年4月から、介護職として働くためには、認知症介護基礎研修の受講が義務化されました。
そのため、現在無資格で働いている方や、今後介護職にチャレンジする方は、新たに資格を取得しなければなりません。

認知症介護基礎研修は、1日あれば取得できるため、できるだけ早く受講すべきです。
この資格を取得できれば、認知症ケアに関する知識が身につき、介護職としてのキャリアアップにもつながります。

施設により、認知症介護基礎研修の受講をサポートしている場合があるため、受講を検討している方は職場の上司や勤務している施設の責任者に気軽に相談してみましょう。

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