作成日:2022/09/28
更新日:2024/10/23
目次
介護施設の利用者様目線に立ったナースコールの役割・活用方法とは
ナースコールは病院や介護施設になくてはならない設備のため、看護師や介護士であれば当たり前のように使えるはずです。そのため、患者様・利用者様にナースコールの使い方を説明する際は、「ご用があるときにボタンを押してください」とだけ伝えていませんか。
しかし、その説明だけでは「押すタイミングがわからない」「使い方がわからない」と戸惑っている方もいます。不安や疑問を解消するためには、利用する立場に立った丁寧な説明が必要となります。
そこで、患者様・利用者様の理解を深めるために、ナースコールの使い方や役割について改めて考えていきましょう。
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ナースコールとは?
ナースコールとは、病院や介護施設に設置されている設備で、患者様・利用者様が看護師・介護士を呼び出すための装置のことです。ナースコールの使い方は、ボタンを押すだけなので非常に簡単です。呼び出し機能のみや通話機能付きのナースコール、持ち運びが可能なナースコールなど複数の種類があります。
ナースコールの役割
ナースコールの役割は、患者様・利用者様が必要なときに看護師・介護士からケアを受けられるようにすることです。
体調が急変したときにナースコールを押すことで、看護師・介護士が駆けつけてくれます。緊急時以外でもケアが必要なときに呼べるため、患者様・利用者様が入院・入居生活を安心して過ごすためには、必要不可欠な設備といっても良いでしょう。
ナースコールの仕組み
患者様・利用者様にナースコールの説明をするために、仕組みについても理解を深めましょう。
まずナースコールのボタンを押すと、スタッフルームなどに設置されている親機に通知されます。すると親機のアラームがなったり、部屋番号が点灯したりして職員へナースコールが押されていることを伝えます。また、親機からPHS・スマホなどの子機へ通知することで、職員がスタッフルームにいなくても対応が可能です。
ナースコールと親機が線でつながったタイプを有線式、wifiなどの電波でつながっているタイプを無線式と呼びます。
どんなときに使うもの?
ナースコールは看護師・介護士に要件があるときに使うものです。
しかし、看護師・介護士が忙しそうにしていると「ナースコールを押すことが申し訳ない」と感じて我慢したり、「押すタイミングがわからない」と押すか押さないかを迷ったりしている患者様・利用者様がいます。「要件のある際に押してほしい」と伝えるのではなく、どのようなシチュエーションで使ってほしいかを細かく伝えましょう。
そのためには、どのようなシチュエーションでナースコールが必要になるかを把握する必要があります。ここでは、ナースコールを使う場面の「緊急のとき」「要件があるとき」「急を要しないとき」について考えてみます。
緊急のとき
ナースコールを使用する場面で一番イメージしやすいのは緊急時です。
容体が悪化した場合や体調が急変した場合など、いつもと違う・様子がおかしいと自分自身で感じた場合にナースコールを使うケースです。早急に看護師・介護士へ異変を伝えることで素早い処置が可能になりますので、命を守ることにもつながります。また、相部屋であれば、同室者様の容体悪化・体調急変を感じた場合にも押してもらえるようにお願いすると良いでしょう。緊急時は自分で押せない可能性もあるためです。
看護師・介護士が緊急時に対応するために、他の職員を呼ぶ際にもナースコールを利用します。一人で対応できないと判断した場合に、ナースコールを押すことで他の職員をすぐに呼び出せるためです。同様に、ご家族からみて様子がおかしいと感じた場合も、職員へナースコールで知らせることもできます。
このように緊急時は、誰でも良いので早急に押してもらうようにお願いしましょう。
要件があるとき
次にナースコールを使うタイミングは、看護師・介護士に要件があるときです。
介護施設であれば、ベッドから車椅子への移乗を介助してほしいときや、トイレまでの誘導をお願いしたいときなど主に介助を必要とするときです。病院であれば、点滴が終了して早く処置を済ませてほしいときや、緊急といかないまでも体調が悪く医療的ケアの必要なときが該当するでしょう。
患者様・利用者様が遠慮してナースコールを押さなければ、転倒や病状の悪化などにつながる恐れもあるため、遠慮なく押してもらえるように説明してください。ナースコールは必要な介助・医療的ケアを提供するために積極的に活用したい設備です。「このくらいで押すと迷惑がかかるかもしれない」とナースコールの判断に迷うケースは、遠慮せずに押してもらうようにお願いするのも大切です。
急を要しないとき
ナースコールは急を要しないときでも使われます。
ナースコールを看護師・介護士の呼び出しではなく、連絡の手段として使う場合です。例えば、「もうすぐお茶がなくなりそうなので、あとでお茶をもって来てほしい」「書類の書き方がわからないから教えてほしい」「困りごとの相談にのってほしい」など、今すぐ対応する必要性がない場合もナースコールは使われます。
職員からすると急用でないのであれば、職員が定時巡回したときに伝えてほしいと思うかもしれません。しかし、巡回までに時間がある場合や不安から押してしまうこともあります。そのため、急用でないナースコールについては、即座に対応することが難しいこともあると伝えておくと良いでしょう。
ナースコールは押された順番に対応されると思っている方がいますので、緊急性の高いものから順番に対応することを伝えておくことが大切です。「先に押したのに対応してくれない」などの苦情を減らすことにも役立つためです。
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ナースコールの種類
ナースコールを理解する上で重要なのは、利用しているナースコールの種類を把握することです。
機能から考えるとどれも同じと考えてしまうかもしれませんが、ナースコールは専用ハードを必要とする第一世代、PHS・スマホが利用できるようになった第二世代、クラウドサービスを利用した汎用性の高い第三世代があります。
第三世代は最新世代で他の介護ロボットと併用することで、医療ケア・介護サービスの質を高めるだけではなく、看護師・介護士の業務削減も期待できます。自分の病院・施設がどの世代のナースコールなのかをチェックしてみましょう。
第一世代
第一世代のナースコールシステムは、専用ハードを設置する必要があるためスタッフルームや事務室に大型の操作盤があることが特徴です。大きな操作盤には居室番号などが表示されており、ナースコールの押された居室が光るなどの工夫がされています。各居室の壁やベッドサイトにナースコールが線でつながっており、今でもよく見かけるタイプといえるでしょう。
第一世代のデメリットは、操作盤と各居室のナースコールを線でつなげる必要があるため、大規模な回線工事を必要とすることです。このシステムは2010年以前から採用されているため、老朽化によってシステムを交換する必要が出てきている施設もあるでしょう。そのような、修理や交換においても回線工事が必要となります。
第一世代のメリットは回線が独立しているため、他のシステム障害などの影響が受けにくいことです。
第二世代
第二世代のナースコールシステムとは、看護師・介護士がPHS・スマホなどの子機でナースコールの対応ができるようになったシステムのことです。
持ち運べる子機がなければ、所定の場所でしかナースコールを受けられませんでした。しかし、看護師・介護士はいつでもナースコールに出られる位置にいるとは限らず、所定の位置までの移動に時間を要してしまいます。
そこで、携帯電話やスマホを利用してどこにいてもナースコールに対応できる第二世代のシステムが登場しました。第二世代は、第一世代にPHS・スマホを使えるように機能を拡張したシステムが多く、大型の操作盤はそのまま利用されています。
デメリットは、第一世代と同じで大規模な回線工事が必要なことと、メーカーによって指定のPHSしか使えないなどの制約があることです。一方で、メリットはどこでもナースコールに対応できるため、対応までの時間短縮につながることです。
第三世代
第三世代はクラウドベース・システム連携型のナースコールです。
クラウドサービスとは、クラウド上にあるため常に最新のシステムを利用できるサービスのことです。様々なデータを集約できるため、ビッグデータを活用したシステムが作りやすいのも特徴といえるでしょう。
第三世代は、クラウド上のナースコールシステムとスマホのアプリを連携させることで、今までにはなかったサービスの提供が可能になりました。例えば、バイタルセンサーとシステムの連携です。バイタルセンサーは、ベッド上の利用者様の心拍データなどを収集できます。システムと連携させることで、スマホで利用者様の様子を部屋に行かずとも確認できるため巡視業務を削減できます。
このように第三世代の特徴は、wifiでナースコールやシステム、スマホやセンサー類をつないで連携することです。wifi環境がなければ設置するために工事を必要としますが、第一世代・第二世代の回線工事に比べると軽微な工事で済みます。
ただし、第三世代のナースコールは、単体で使う場合、前の世代のナースコールと使い勝手の面で然程差を感じないかもしれません。見守りシステム等と連携させることで、利便性や拡張性の高さを実感することができるはずです。
最適なナースコールを選びましょう
ナースコールは、使い方・役割を改めて考えてみると利用者様・患者様の満足度を高めるのに役立つ設備とわかります。
「緊急時の際に対応してくれる安心感」「必要なときに対応してくれる利便性」「不安にも通話で寄り添ってくれる」など、利用者の困りごとの解消に重要な役割を果たしているためです。
さらに使い勝手の良いナースコールシステムを提供するためには、第三世代をおすすめします。見守りシステムと連携させることで、ナースコールを押せなくてもバイタルセンサーが緊急時を感知できるためです。
これからナースコールシステムを導入・更新する施設様は、安心して患者様・利用者様に過ごしてもらうためにも、最適なナースコールを選びましょう。