
【対応事例付き!】福祉施設・介護施設での離職率を下げるには?
介護士の年々採用コストがあがり、募集してもなかなか採用に至らない施設さまも多いのではないでしょうか。介護士の離職率は他の業種と比較すると平均的ではありますが、業界経験者・希望者が限られるため新規採用がとても難しいです。
そこで今回は、介護士・職員が離職する原因の分析から、効率的に離職率を下げる方法について解説していきます。
介護士が離職する本当の理由とは?
介護士の離職理由と聞くと「賃金の低さ」「肉体労働で腰を痛める」などの理由が良く聞かれます。これらを否定するわけではないですが、まずは正確なデータをもとに離職理由を探っていきましょう。
介護士離職は、報酬が原因とは言い切れない
介護労働安定センターが行った調査によると、離職理由のトップ5は以下の通りでした。
- 結婚・妊娠・出産・育児のため(26.0%)
- 職場の人間関係に問題があったため(16.3%)
- 自分の将来の見込みが立たなかったため(15.6%)
- 収入が少なかったため(12.3%)
- 他に良い仕事・職場があったため(11.5%)
つまり、巷で言われているような待遇の悪さが原因で離職しているという原因よりは、結婚や出産を契機としたライフスタイルの変化と職場の人間関係が本当の原因という結果です。
このままデータを受け取ると、ライフスタイルの変化は仕方がないし、職場の人間関係を良くするように風通しの良い組織を作ろうという結論に落ち着きそうです。果たしてそれは正しいのでしょうか?
介護士離職の本当の原因は「高い業務負荷」
離職原因を探る際のポイントは、理由の深堀りです。
例えば、今回の「ライフスタイルの変化」は深堀すると何が見えてくるでしょうか。実際に介護士の声を聞くと
- 子育てをしながら夜勤をこなすことが難しいので離職した
- 肉体的疲労が大きく、家事との両立が無理だった
- 業務が多く殺伐としていたため、人間関係も悪化していた
といった、アンケート結果には表れていない事柄を知ることができました。
これらを組み合わせて考えていくと、本当の離職原因は「業務がつらい」というものであることが分かります。業務のつらさがあるので、ライフスタイルの変化を機に離職しようという決断になることや、人間関係がうまく醸成されないことは容易に想像できます。
ここまで突き詰めて考えると、福祉施設・介護施設の離職率を抑える最適な方法は業務効率化であるといえるのではないでしょうか。
特に夜間訪室業務はストレスの元
さらに業務効率化を図るべき箇所を検討していくと、「夜間訪室業務」がキーになりそうです。
介護士のつぶやきを見ていくと、
- 深夜の業務は生活リズムが崩れる
- 見落としがあると大問題になってしまう
- 子育てや結婚生活との両立ができない
といった声も聞かれ、夜間訪室業務や夜勤が大きなストレスになっていることが分かります。
つまり、業務の中でも特に強いストレスになっている夜間訪室業務の改善こそが、離職率改善への効果が高いように見えます。
夜間訪室業務効率化の施策3選
夜間訪室業務の改善するための方向性は、複数存在します。
それぞれの方向性ごとに施策をご紹介していきます。
業務自体の削減
根本解決を目指すのであれば、夜間訪室業務自体を削減する方法をとる必要があります。その方法としてお勧めしたいのが「見守りサービスの導入」です。
見守りサービスの導入により、遠隔で入所者様の状況が把握できたり、異常があるときだけ警告が表示されれば、定期的な巡回業務は必要なくなります。具体的には、ベッドにセンサーを設置し脈拍をモニタリングすることができ、室温や室内の人の動きを検知出来れば、人が見て回るよりも確実に部屋の中での異常を把握することができるはずです。
ご興味ある際は、こういった見守りサービスを提供する会社は複数存在しますので、まずは複数社へ見積もりを依頼しコスト感を把握するのが良いでしょう。
担当者の適正化
業務自体の削減が難しい場合は、業務を行うスタッフを調整することで、施設全体としての業務効率化を進めることができるかもしれません。「人事制度の見直し」はその方法として効果的で、夜勤有無で適応する人事制度を別に設けることにより、離職防止と夜勤の偏りによる不公平感解消を両立することができます。
例えば、職員の報酬体系を「夜勤ありコース」と「夜勤なしコース」に2分します。
夜勤なしコースでは、夜勤や残業が原則なく、育児や子育てとの両立が可能な就業を保証します。一方で、そのような働き方では責任を以って管理監督する業務は難しいため、管理職に向けて段階的に昇進することは前提としないこととします。
夜勤ありコースでは、シフトで夜勤が発生したり、必要に応じて残業が発生こととします。一方で、将来的な管理者層として育成することを前提とし、報酬にも自ずと差が出ます。
こうした人事制度の分割によってライフスタイルの変化による離職を防ぐ措置は多くの業界でとられており、今後介護業界でも広がることが予測されます。
心理的負荷の軽減
業務自体の削減が難しく、担当者の適正化も難しい場合には、せめて心理的負荷を減少させるような施策をとることができます。ここでご紹介したいのが「業務監査システムの導入」です。
見落として大問題になったらどうしようという不安は、チェック項目の明文化(ここまでやればよいという具体的な基準)と、しっかりチェックしたことを証明できる仕組み作りで軽減することができます。
例えば、業務監査ツール上でチェック項目として夜間訪室業務で見るべき項目を明文化し、夜間訪室業務の際にはチェックリストを手に携えて巡回します。そして、チェック完了時にシステムへその証跡を残すことで、万が一の際も事後的に自身は業務を適正に行っていたと検証可能な状況を作ります。
弊社での業務効率化の結果
以上でご紹介した内容と、弊社での業務効率化の実施内容を資料にまとめて配布しております。
「夜間訪室業務の効率化で離職率を改善する方法」のダウンロードはこちらから。
本記事は以上となります。
皆様方の施設の離職率改善に少しでも役立てば幸いです。