作成日:2023/08/02
更新日:2024/10/23
認知症を患う入居者の安全と安心を確保するために、介護施設の運営者の皆様はさまざまな対策を講じていることと思います。
中でも、認知症の徘徊行動は入居者にとって重大なリスクとなりますが、見守りシステムを活用することでこの問題を軽減できる可能性があります。本記事では、見守りシステムの活用方法と、徘徊対策を強化するための他の対策について考えていきます。
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見守りシステムとは
見守りシステムは、入居者の動きや位置を目的に応じて適切に把握する仕組みです。最新の見守りシステムは、センサーやカメラを活用し、リアルタイムで入居者の状態を把握することができます。
これにより、入居者が徘徊行動を起こした際に早急に対応することが可能となります。
また、スタッフが少ない時間帯に徘徊トラブルが起り対応していたとしても、見守りシステムで、他の入居者の状態が分かる状態になっています。
認知症の徘徊の状況
認知症の入居者が徘徊している状況では、本人は何か目的があり歩いていますが、自分の身体能力を把握しておらず、転倒しやすくなっています。
スタッフが見ていない時にも徘徊は起こり、1人の入居者が徘徊をしていると、他の入居者も落ち着かなくなり、徘徊を始める場合もあります。
徘徊している入居者を無理に連れ戻そうとすると、気分を害したり、時には興奮してしまったりするため、散歩などを通じてスタッフが一緒に過ごし、落ち着つくまで付き添う必要があるケースが多いです。徘徊は、夕方や夜中など、スタッフが忙しい時間にも起こり、施設スタッフの人手が足りない一因となることもしばしばです。
徘徊している入居者1人に、スタッフ1人がかかりきりになると、スタッフ1人当たりの業務量が増え、スタッフへの負担が増えます。そして、他の入居者へのケアや見守りがおろそかになり、結果として介護の質が落ちてしまいます。
徘徊による行方不明者数は増加傾向にある
認知症の徘徊による行方不明者数は近年増加傾向にあります。警視庁の「令和4年中における行方不明者の状況」では、認知症が原因と考えられる人数が、18,709人と発表されています。
高齢者の増加に伴い、認知症を患う入居者の数も増えており、徘徊が起こるリスクは高まっています。徘徊による行方不明は、入居者の安全を脅かすだけでなく、家族やスタッフにとっても心配とストレスの源となります。
(参考資料: 警視庁 令和4年中における行方不明者の状況 発表資料 令和4年における行方不明者の状況(図表)
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/fumei/R04yukuefumeisha_zuhyou.pdf )
徘徊が起こる原因ときっかけ
認知症の徘徊は、様々な原因やきっかけによって引き起こされることがあります。入居者が環境の変化に戸惑ったり、ストレスを感じたりすることで徘徊行動が見られることがあります。
また、過去の経験や習慣が徘徊のきっかけとなることもあります。入居者の個別の状況を理解し、徘徊の原因を特定することが重要です。
認知症の徘徊に気付きやすい環境をつくることが大切
徘徊行動を防止するためには、入居者が徘徊を始める前にその兆候に気付くことが重要です。入居者の態度や行動に変化があった場合には、スタッフが迅速に対応できるような仕組みを整える必要があります。
また、入居者の個別のニーズを理解し、快適な居住環境を提供することも徘徊の予防に繋がります。そのためにも、スタッフの観察やスタッフ同士の情報交換など、スタッフの連携や資質向上も必要です。
見守りシステムは認知症の徘徊対策として活用できる?
入居者の徘徊兆候に気づき、スタッフが事前に話しかけたり、手作業などを一緒に行ったりと、個別の対応をすることで、徘徊予防を行うことができます。
しかし、スタッフの熟練度の差やその日のケアの流れなどで、必ず徘徊を予防できるわけではなく、誰かが見ていると言う思い込みなどによるヒューマンエラーによっても、徘徊による離設などが起こる可能性もあります。
見守りシステムは、スタッフでは把握しきれない入居者の動きや位置をいつも把握しています。ですので、見守りシステムは入居者の徘徊対策として活用できるといえます。
見守りシステムの特徴を踏まえて徘徊対策は可能
ではどのように見守りシステムを使うことが有効なのでしょうか。
見守りシステムは、特に入居者の動きや位置をリアルタイムで把握することができる点が、認知症の徘徊対策に非常に有効です。
例えば、入居者が特定のエリアから外出した際にアラートを発信して入居者の動向を把握することで、早期の対応が可能となります。これにより、徘徊が起こる前に対処し、入居者の安全を確保することができます。
見守りシステムの活用ポイント
見守りシステムのメリットは、スタッフの人数や動きや習熟度に左右されることなく、365日24時間、すべての入居者の位置情報などを把握できることも挙げられます。
では、実際に見守りシステムを導入する際の具体的な事例や活用方法を確認してみましょう。
玄関にマットセンサーを付ける
玄関にマットセンサーを設置することで、入居者の外出を検知することができます。徘徊が起こる最初の兆候として、入居者が玄関に近づくことがあります。
受付に人がいる施設だとしても、誰も玄関を見ていない瞬間があります。その瞬間を見計らったかのように、徘徊している入居者が離設する場合があります。
こうした中、人の目に頼らないマットセンサーによる見守りは、プライバシーを侵害することなく徘徊対策を行う手段として重宝されています。
ベッドセンサーで部屋から出るのを事前に察知する
ベッドセンサーを利用すると、入居者がベッドから離れるタイミングを把握することができます。特に夜間に徘徊が起こることが多いため、夜間のベッドからの離床を察知することで、徘徊のリスクを低減することができます。
夜間は夜勤スタッフしかおらず、居室や廊下も暗い為、徘徊による転倒の危険性が高まります。
しかし、おむつ交換や各入居者の部屋に訪室しての様子観察など、夜勤スタッフの業務は、きつく多忙な内容になっています。そんな中で、ベッドセンサーによる、ベッドからの離床が早期に察知できれば、夜勤スタッフの心理的負担軽減につながるでしょう。
徘徊のリスクを低減する方法も合わせて対策しましょう
徘徊が起こった際に早期に対応することも重要ですが、徘徊が起こるリスクを低減することも必要です。
認知症の方は、目的を持って徘徊します。過去の出来事が原因であったり、空腹やのどの渇き、便秘や排尿などの生理現象によってだったり、暗がりに幻覚を見ていたりなど、様々です。
徘徊の原因については、スタッフが入居者の様子観察や対話をしながら、見つけていくしかありません。
そのため、スタッフ間で、綿密な情報交換や連携を取り、それぞれの入居者の徘徊の原因を特定し、徘徊が起こるリスクを減らす工夫も同時にしていきましょう。
趣味や仕事など役割を与える
入居者に趣味や仕事などの役割を与えることで、自己肯定感を高めることができます。認知症の方々も自分にできることを楽しむことで、徘徊行動が減少する場合があります。
日常生活において充実感や達成感を感じることは、徘徊を予防する上で重要な要素です。
役割になる趣味や仕事などは、それまでの生活歴に密接な関係があります。
また、加齢により目が見えにくいなど、細かい動きができない場合もあります。スタッフが常に横にいるわけにはいきませんので、そのような場合には、入居者が1人で簡単にでき、達成感を得られる趣味や仕事が良いでしょう。
適度な運動をする
適度な運動は、認知症の症状を緩和させるだけでなく、徘徊行動のリスクを低減させる効果もあります。入居者に適切な運動プログラムを提供することで、身体機能の維持や改善を促し、徘徊を抑制することができます。
また、適度な運動は便秘やストレスの解消にも役立ちます。それらの解消により、徘徊のリスクを減らすことが期待できます。
地域コミュニティとの連携
地域コミュニティとの連携を強化することで、入居者の安全をサポートする体制を整えることも重要です。
地域のボランティアや関係機関と連携し、徘徊のリスクに対する情報共有や迅速な対応を行うことで、入居者の安全を守ることができます。
■特許取得の離床予測を活用!テクノロジーで介護を変える見守りシステム
介護施設における認知症徘徊の悩みには、見守りシステムをうまく活用しましょう
介護施設においては、認知症の徘徊対策は常に悩ましい課題です。
しかし、見守りシステムをうまく活用することで、入居者の安全と安心をより確保することができます。
見守りは大切な介護業務の1つですが、何かが起これば見守りは手薄になってしまいます。
安全に介護をすることができれば介護スタッフの負担も減ることにつながります。
また、介護スタッフが他の業務をしていても様子を確認できることは利用者の安心にもつながります。
見守りシステムを導入する際には、入居者のプライバシーや個別のニーズを考慮した運用が必要ですが、適切に活用すれば認知症の徘徊対策に有効な手段となることは間違いありません。
ただし、いままで見守りシステムを活用したことがない場合は特に不安な部分があるかと思います。
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